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Amazon Prime Video 映画『バーズ・オブ・パラダイス』感想(ネタバレあり)〜一緒にゴールテープを切る誓いはどこまで続くのか〜

Amazon Prime Videoオリジナル映画『バーズ・オブ・パラダイス』ネタバレ含めた感想です。仲良し二人組が一緒に手を繋いでかけっこのゴールテープを切ると約束しながら、目の前にニンジンをぶら下げたら、その友情や誓いは一体どこまで続くのか。

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作品情報

原題:Birds of Paradise
製作年:2021年
製作国:アメリ
日本配信日:2021年9月24日Amazon Prime Videoで配信開始
本編尺:1時間53分
監督:サラ・アディナ・スミス
出演:クリスティン・フロセス、ダイアナ・シルバーズ、キャロライン・グッドオール
ジャンル:ドラマ

あらすじ

ケイトは大きな夢を抱いている。その夢を叶えるため奨学金をもらい、パリの格式高いバレエ学校に入学。到着早々、彼女の実力を同級生のマリーンに試される。マリーンは双子の兄弟を亡くしたばかり。最初は対立する2人だが、しだいに心を通わせるようになり良きライバルとなっていく。ウソや性の目覚めに翻弄されつつも、すべてを犠牲にして、パリのオペラ座バレエ団入団の切符を賭けて闘う。

感想

評価:★★☆☆☆

パリのオペラ座バレエ団入団のひとつのイスをめぐっての徹底的な競争世界を愛憎交えて描き出す。ライバルを蹴落とそうとする前半から、あなたを蹴落としてまで勝ちたくないという聖なる誓いを立てる後半の転調。それは仲良し二人組が一緒に手を繋いでかけっこのゴールテープを切ると約束しながら、目の前にニンジンをぶら下げたらその友情や誓いはどこまで続くのかと試されている葛藤やスリルがある。

序盤にアメリカ人のケイトは出鼻をくじかれる。アメリカでは高さと力強さだけで評価されたかもしれないが、パリでは女性らしさが求められるから勘違いするな。その言葉はダンスの表現方法だけではない。パトロンやスポンサーのお眼鏡にかなう女性なのか、性の対象として品定めされる。

女性らしさを求められ、賞を撮る以外にゴールが設定されない物差しをぶち壊そうとする意志は、最終審査での二人の言動やダンスに集約され、その先の成功と自由の対比もエピローグとして描かれる。そんな分かりやすい展開で色々なことを謳い上げようとするあまり、映画的な盛り上がりやカタルシスや問題提起が整理できていない印象を受ける。

ドラッギーな映像表現や、抽象的な暗黒の舞台上で舞踏するシルエットなど、映像の見せ方や画面設計は趣向が凝らされている。だが、ドラッグ、セックス、ダンスという日常のループや同性愛的な場面など、家柄やカネがモノをいう欲望と競争の世界を彩る各要素に目新しさは感じられないのが物足りない。

 

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