Netflixドキュメンタリーシリーズ『暴君になる方法』感想(ネタバレあり)〜誰でも暴君になれるプレイブック〜
Netflixオリジナルのドキュメンタリーシリーズ『暴君になる方法』ネタバレ含めた感想です。ヒトラー、フセイン、アミン、スターリン、カザフィー、金正日。歴史上の暴君たちが参考にした架空のプレイブックを紐解く。
作品情報
原題:How to Become a Tyrant
製作年:2021年
製作国:アメリカ
日本配信日:2021年7月9日Netflixで配信開始
総エピソード:6話
出演:ピーター・ディングレンジ
ジャンル:ドキュメンタリー
解説
人々を支配するために必要なものとは何か。絶対的な権力を握るための戦略と特性の数々を、歴史に残る暴君たちから学ぶシニカルなドキュメンタリーシリーズ。
感想
評価:★★★★☆
ドイツのアドルフ・ヒトラー、イラクのサダム・フセイン、ウガンダのイディ・アミン、ソ連のヨシフ・スターリン、リビアのムアンマル・カッザーフィー、そして北朝鮮の金正日・金正男・金正恩といった歴史上に残る暴君の仕事っぷりと体制作りを紹介しつつ、彼らはあるプレイブックを基に暴君になり、その本に則れば誰もが暴君になれるという体でのナレーションが面白い。
当たり前であるが、暴君はただ凶悪で傍若無人では務まらない。人の心を掌握するブランディングやスピーチ力、汚い部分を隠す隠蔽力やマスコミ操作、恐怖で人々を支配する拷問や虐殺、信頼できる腹心や右腕の存在。国民の上に立ち、人々を信じ込ませ団結させるにはどの暴君もエネルギッシュでカリスマ性を兼ね備えている。
その中でも三世代にわたって体制を維持し続ける北朝鮮はレジェンドだと位置づけられる。結局、自国と他国の状況を比較され暴かれれば国民に疑念が湧く。だからこそ外交を遮断し、渡航を制限し、そして外国には核兵器でいつでも攻撃できると脅かす。これが暴君の成し遂げた最終形態だと評価する。
組織の上に立つ人間も、どこかでは暴君でなければいけないのかもしれない。逆に暴君になるような人間をこのドキュメンタリーで早めに発見できるかも知れない。歴史を振り返る時に、このように魅力ある暴君を横軸に語り直すのは、とても面白い。