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Netflix映画『スペル』感想(ネタバレあり)〜世の中を見下す人間に下る天罰〜

Netflix映画『スペル』ネタバレ含めた感想です。世の中を見下す人間に下る天罰。グロテスクなブギティ人形がトラウマ必至な、田舎なめんなよ系ホラーです…。

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作品情報

原題:Spell
製作年:2020年
製作国:アメリ
日本配信日:2021年9月3日Netflixで配信開始
本編尺:1時間31分
監督:マーク・トンデライ
出演:オマリ・ハードウィック、ロレッタ・デヴァイン、 ジョン・ビーズリー
ジャンル:ホラー

予告編


あらすじ

飛行機事故から目覚めたマーキスは、怪しい魔術を信仰する老女に1人拘束されていた。同乗していた家族の身を案じる彼は、なんとか脱出しようとするのだが...。

感想

評価:★★★☆☆

 

ブードゥー教とは

本作の狂気じみたホラー展開で鍵を握っているのはブードゥー教という宗教です。ハイチや西アフリカ、そしてアメリカ南部などで信仰されており、全世界で5000万人以上の信者がいるとも言われている民間信仰です。

本作でも疎遠だった父親を見送りにアメリカ南部へと向かいますが、プライベートジェットを給油しようと寄った怪しげな店でブードゥーのまじない袋を持っている店員を蔑んだり、山を超えた向こう側はブードゥーが信仰されているので危険といった描かれ方をされています。

 

見下す人間に下る天罰

本作の主人公である弁護士は、たとえ原告が同じ黒人であろうと温情をかけずに職務に全うする、いわゆる成功者だ。そして家庭内でも問題を真に受けずに強引に仕切りたがる一面があることが序盤でさらりと描かれます。彼は保有しているプライベートジェットから世界を見るように、相手を見下すような傲慢さがあります。

本作は嵐に巻き込まれて飛行機が事故にあった後に、3人の家族によって謎の部屋に軟禁される恐怖と狂気を嫌というほどじっくりと痛々しく描いていきます。その怖さの根底にあるのが、白人の真似事をしている傲慢な黒人の鼻を折るというやっかみという、人間の奥底にある得体の知れた心の有り様だからこそ、怖さが倍増していきます。

 

グロテスクなブキティ人形

本作を観たら忘れられないのが、「ブキティ人形」と呼ばれる不気味な人形でしょう。人形と自らの身体がリンクしており、人形がされたことは自分の体にも跳ね返ってくるという設定はもはや拷問です。

また猫の目をくり抜いて人形の目に入れ込む、ヤギの目をくり抜いて盲目の老人の目に入れ込むといったグロテスクな眼球描写。あるいは足の裏に打ち込まれた長い釘を一度抜いた後に、逃げようとしたことを知られないためにもう一度自らの手で足の裏に突き刺す痛々しすぎる描写など、恐怖だけではなく禍々しさとグロテスクさが満載なのもいい意味で嫌気が差します…。

 

あっさりしたラスト

もはや誰も助けてくれず、一つ一つ希望の芽が詰まれていく絶望的な状況。主人公は自分の力でこの状況を突破する以外、方法がなくなっていきます。ここで、ブードゥー教に支配された村をどのように脱出するかが物語の肝となります。

ここで相手の動きを封じることができる謎の粉を吹きかけ、自分で作ったブギティ人形を自分で作って相手を殺すといった、かなりあっさりとした幕引きとなってしまうのが物足りなかったです。例えば、ブギティ人形を自ら作ることで、助かることはできたがブードゥー教が彼に刻印された等、もっと余韻を残す終わり方ができたはずだと思います。