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映画館のない離島から、NetflixやAmazonプライムビデオの新作配信映画を中心に爆速レビュー!

Netflix映画『バッド・トリップ ~どっきり横断の旅~』感想(ネタバレあり)〜巻き込まれた方はたまったもんじゃないよ〜

Netflixオリジナルの新作映画『バッド・トリップ ~どっきり横断の旅~』ネタバレを含めた感想です。

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<作品情報>

原題:Bad Trip
製作年:2021年
製作国:アメリ
日本配信日:Netflixにて2021年3月27日配信開始
本編尺:1時間26分
監督:キヲタ・サクライ
出演:エリック・アンドレ、リルレル・ハウリー、ティファニー・ハディッシュ
ジャンル:コメディ

<予告編>
 

あらすじ


フロリダの田舎町から大都会NYに向けて車を走らせる親友2人組、ケーリーとリー。
そこに凶暴なリーの姉貴・マロンが刑務所から脱獄し、2人を追いかけてくる!
果たして2人は逃げ切れるのか。そして、恋と友情の行方はいかに…。
見知らぬ町でおふざけ三昧の彼らと、いたずらに巻き込まれた一般人の反応を、隠しカメラでとらえたどっきりコメディ。

 

感想


評価:★★★☆☆

配信までの道のり

本作はもともと昨年のSXSW映画祭で初公開される予定でしたが、世界的な新型コロナウイルスの影響で映画祭はキャンセル。 また同じ理由で、アメリカでの劇場公開も中止になりました。

その後、何故かAmazonプライムビデオで誤って公開されるというアクシデントを経て、 Netflixが配給権を購入。無事に配信という形で日の目を浴びることになりました。

まずは無事に日本でも気軽に見られるコメディが観られることを喜びたいと思います!

確信犯的なハプニングから生じる「笑い」

とはいえ、内容は下ネタ満載かつ、主人公の2人組のおふざけに巻き込まれた、何も知らされていない一般人の唖然・呆然のリアクションを見て笑うという、一種のドキュメンタリー的な作りになっています。(巻き込まれた方はたまったもんじゃありませんが…)

似たような作りで連想するのは、サシャ・バロン・コーエン主演の『ボラット』シリーズですが、『ボラット』の場合はキャラクターがあまりにも有名になりすぎて、巻き込まれる一般人も最初から警戒感たっぷりのため、直近の作品ではブラックな笑いは踏襲しながら、世相を取り入れてより政治的な内容にしたり、「ボラットの娘」という新たな(そして最高な)キャラクターを登場させたりと脚本を練り上げ、大成功を収めました。(Amazonプライム・ビデオにて配信中、超オススメです!!)

一方で、『バッド・トリップ』は役者の知名度もそこまで高くないため、一般人のガードも下がっていることから、よりナマのリアクションを確信犯的にカメラに収めることに成功しています。エンドロールで一般人へのタネ明かしシーンが延々と流れますが、それでも本編でモザイクが掛かっている人もいることから、冗談で済まされないと激怒した人もいたんだろうなぁ…。

また、ミュージカル映画が苦手という方で多い理由だと思いますが、街中で人が急に歌ったり踊ったりしたら周囲はどんな目で見るのかというリアクションを押さえている点も、単なる笑いだけでなく、ミュージカル映画というジャンルに対しての批評にもなっていて、良かったと思います。

狂った「バッド・トリップ」描写は必見!

具体的なイタズラとしては、車の清掃中に掃除機に服を吸い込まれて全裸になるシーンからはじまり、客から注文を受けたジュースを作ろうとし、ミキサーに手を突っ込まれ流血するフリをする、バーで信じられないほど勢いよく大量に嘔吐する、相棒と股間同士が離れなくなりひたすらカニ歩きして助けを求めるなどなど、露悪的なイタズラがひたすら続いていきます。

おバカ二人組の珍道中というざっくりとしたストーリーはありますが、基本的にはイタズラ描写の連なりで進んでいくため、それが苦痛だという方も少なくないと思います。
(特に動物園でのゴリラのシーンはとにかく酷いの一言…苦笑)

そんな中でも、題名にもなっている「バッド・トリップ」=ラリった描写の狂いっぷりは必見!デニス・ホッパー監督『イージー・ライダー』、ダーレン・アロノフスキー監督『レクイエム・フォー・ドリーム』、リチャード・リンクレイター監督『スキャナー・ダークリーなど、映画ならではの映像表現のひとつとして印象的に描かれていましたが、本作もそれらに負けず劣らずだと思います!

本作を気に入った方へのオススメ作品

ジェフ・トレメインはじめ、ジャッカス』シリーズで製作を手掛けたスタッフが関わっていることもあり、2013年制作のジャッカス クソジジイのアメリカ横断チン道中』がオススメです。笑いという罠を一般人に仕掛けてリアクションを拾っていく構成、お騒がせな二人によるバディムービーの珍道中、ネタばらしが続くエンドロール、と共通点の多い作品です。

個人的には『ジャッカス』のほうが、オチの「今までさんざん大暴れしてきたくせに、何いい話のような湿っぽい感じで終わってんだよ笑」というくだらなさ含め、好みです。是非、見比べてみてください。