Netflixドキュメンタリー映画『コンバージェンス: 危機のなかの勇気』感想(ネタバレあり)〜国家の分断はウイルスが付け入る隙になる〜
Netflixオリジナルのドキュメンタリー映画『コンバージェンス: 危機のなかの勇気』ネタバレ含めた感想です「国家の分断はウイルスが付け入る隙になる」という印象的な言葉の通り、今まで政府や行政が見て見ぬふりをしてきた問題の顕在化を描き出す。
作品情報
原題:Convergence: Courage in a Crisis
製作年:2021年
製作国:アメリカ、イギリス
日本配信日:2021年10月12日Netflixで順次配信開始
本編尺:1時間53分
ジャンル:ドキュメンタリー
予告編
あらすじ
新型コロナウイルスのまん延で、世界中であらわになった社会のひずみ。より良い未来に向けて、社会の隅々で闘う名もなきヒーローたちの姿を追うドキュメンタリー。
感想
評価:★★☆☆☆
新型コロナによって逼迫する世界中の医療現場。本作はそこで患者を診察する医師ではなく、病院で働く清掃員や、病院に行けない人々を送迎するボランティアやソーシャルワーカーの活躍にスポットを当てる。縁の下で社会の混乱を支える人々に焦点を当てるという意味では、フィクション映画ではあるが、ベン・スティラー監督の傑作『LIFE!』といった作品が頭に浮かぶ。
そこから浮かび上がるのは、今まで政府や行政が見て見ぬふりをしてきた問題の顕在化だ。見捨てられたスラム街、街のために医療従事する難民や移民、公衆衛生教育の失敗。命の危険を冒してまで医療現場で働いているにも関わらず、保険の対象から除外されれ、患者もコロナで死んだら、その家族は在留許可が取れない。機能しない行政に頼ることなく、自ら行動を起こす人々の尊さは胸に迫るものがある。
「国家の分断はウイルスが付け入る隙になる」という印象的な言葉の通り、混沌とした世界の社会的な病理も浮かび上がらせた後、本作は見捨てられた人々の声を「連帯」という形で世の中に提示する様を映し出す。だが、コロナという終わりの見えない闘いを描きながらも、その問題を中途半端に切り上げて主張を押し通す構成は、ドキュメンタリーとしてはスマートではないようにも思う。