Netflix映画『THE GUILTY/ギルティ』感想(ネタバレあり)〜オペレーターが左遷された理由〜
Netflixオリジナル映画『THE GUILTY ギルティ』ネタバレ含めた感想です。オリジナル版の巧妙な密室サスペンスとしての面白さはありつつ、昨今問題になっている警察の職権乱用にも釘を刺す一作。
作品情報
原題:THE GUILTY
製作年:2021年
製作国:アメリカ
日本配信日:2021年10月1日Netflixで配信開始
本編尺:1時間31分
監督:アントワン・フークア
出演:ジェイク・ギレンホール、イーサン・ホーク、ライリー・キーオ
ジャンル:サスペンス
予告編
あらすじ
電話から聞こえる声と音だけで誘拐事件を解決するという、シンプルな設定と予測不可能なストーリー展開で高い評価を獲得した同名デンマーク映画を、ジェイク・ギレンホール主演・製作でアメリカを舞台にリメイク。911緊急通報センターに勤務するコールオペレーターのジョー・ベイラーは、1本の謎の電話から、通報者の女性が何者かに拉致されたことを予測する。電話から聞こえてくる声と音だけを頼りに彼女を助けようとするジョー。しかし、次第に何もかもが自分の思っていることとは違っていることに気づき…。
感想
評価:★★★☆☆
オペレーター室で全編が展開する本作は、電話口からの声や音など外部からの情報が限られているが故に、繰り広げられている光景を瞬時に脳内で想像し、状況を好転させるべく動かなければならないサスペンスが軸となる。そして情報が限られているからこそ、人間の先入観が浮き彫りになり、足枷として機能し物語が二転三転していく様が面白い。
さらに観客は左遷され最後の日を過ごすこのオペレーターと同じような状況に置かれる一方で、この主人公は一体どのような人物なのかという不安にも襲われる。だからこそ、次にどのような決断を下すのか読めないサスペンスも同時に生まれる。彼の時より見せる荒っぽい言動のひとつひとつや、情報の出し方や順序が非常に巧みに練られており、作り手の手腕が光る。掛かってくる電話をスイッチングで捌きつつ、情報収集して断片から物語を組み立てるテンポの良さもいい。
そしていよいよ事件の全貌と、リメイク版である本作ならではの主人公が抱える過去のが明らかになった、その交点にクライマックスを持ってくる。だが、罪の意識に苛まれ改めて自分と向き合うからこそ、そこで下す決断と事件の行く末に真実味が生まれるものの、未成年の少年を銃殺したという昨今問題になっている警察の職権乱用を告白するという結末を導くために、事件をダシに使ったようにも見える。