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映画『くれなずめ』感想(ネタバレあり)〜暮れそうでなかなか暮れない青春〜

映画『くれなずめ』ネタバレ含めた感想です。暮れそうでなかなか暮れない青春を最後に謳歌し成仏させようとする男たちの泥臭く青々しい悪あがき。

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(C)2020「くれなずめ」製作委員会

作品情報

製作年:2021年
製作国:日本
公開日:2021年5月12日
本編尺:1時間36分
監督:松居大悟
出演:成田凌若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、高良健吾
ジャンル:ドラマ

予告編

youtu.be


解説

「アズミ・ハルコは行方不明」「君が君で君だ」の松居大悟監督が、自身の体験を基に描いたオリジナルの舞台劇を映画化6人の仲間のうち、主人公・吉尾和希を成田凌、舞台演出家として活躍する藤田欽一を高良健吾、欽一の劇団に所属する舞台俳優・明石哲也を若葉竜也、後輩で唯一の家庭持ちであるサラリーマン・曽川拓を浜野謙太、同じく後輩で会社員の田島大成を藤原季節、地元のネジ工場で働く水島勇作を目次立樹がそれぞれ演じる。

あらすじ

高校時代に帰宅部でつるんでいた6人の仲間たちが、友人の結婚披露宴で余興をするため5年ぶりに集まった。恥ずかしい余興を披露した後、彼らは披露宴と二次会の間の妙に長い時間を持て余しながら、高校時代の思い出を振り返る。自分たちは今も友だちで、これからもずっとその関係は変わらないと信じる彼らだったが…

感想

評価:★★☆☆☆

「くれなずむ」という言葉は、完全に日が暮れそうでなかなか暮れないでいる状態を指す。本作で言えば、その「日」は成田凌ということだろう。5年ぶりに再会し馬鹿騒ぎをする男どもは、忘れられそうで忘れられない成田凌という存在を自分の中から成仏させるために、そしてみっともない自分の青春を精算するために、5年前をなぞってみせる。

リハーサルや余興や二次会という本番ではない場にスポットライトを当てつつ、社会の片隅でダルくもがく男たちにとって、暮れそうでなかなか暮れないでいる「青春」を最後に謳歌しているようにも見える。彼らが「暮れなずめ」と断腸の思いで願っていることは、必死に前を向き、生きづらい今を生きようとしている証だ。ただ青春をノスタルジックに振り返ろうとすることを強制的に避けようとしているのには好感が持てる。

だが、コントや踊りを交えた終盤の跳躍によって、本作のリアリティライン自体が崩れてしまうのが気になる。『アズミ・ハルコは行方不明』『君が君で君だといった松居大悟作品と同様に、物語が跳躍することでのカタルシスが薄い。青臭くて泥臭い男子たちの部活感を描く作品よりも、女子を主人公にした一癖ある青春映画のほうが魅力的に撮れる監督だと改めて思う。

 

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