Netflix映画『最高に素晴らしいこと』感想(ネタバレあり)〜橋の上から飛び降りそうなティーンたち〜
Netflixオリジナル映画『最高に素晴らしいこと』ネタバレを含めた感想です。橋の上から今にも飛び降りそうなエル・ファニングから始まり、終盤に予想外の展開を迎える痛みを伴う青春映画です。
あらすじ
インディアナ州の小さな町。高校生のセオドアは、同級生のバイオレットが橋から飛び降りようとしている場面に遭遇する。彼女は数カ月前に姉を交通事故で亡くして以来、周囲に心を閉ざしていた。自身も精神面に問題を抱えるセオドアはバイオレットのことが気になり始め、州内の名所を巡る学校の課題のパートナーに彼女を指名する。嫌々ながらも課題に取り組み始めたバイオレットは、セオドアと過ごすうちに笑顔を取り戻していくが…。
感想
評価:★★★☆☆
橋の上から今にも飛び降りそうなエル・ファニングの側に突然立って説得する黒人青年。本作はその後、フィールドワークという名目で2人1組となり様々な土地を巡るが、2人が並列したり、並走したりと、隣り合わせの場面が目立つ。それは、黒人青年が彼女と同じ目線や心情に立つことで、真に寄り添うための演出かと思わされる。
だが、本作は終盤に反転する。彼はエル・ファニングと同様に、文字通り淵に立つ状態だったからこそ、隣り合わせになっていたことが発覚する。そのサインを見落としていたことに観客もハッと驚かされ、彼女に近づくための打算的な下心を疑っていたことに反省させられることになる。
一方で、彼女はその後ポジティブに前を向くからいいものの、死ぬ寸前まで追い込まれていた彼女を振り回した挙句に置き去りにするような仕打ちを結果的にしてしまったことに対して、残される彼女がいかにショックを受けるか一番分かっている身としていかがなものかとも思ってしまう。