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Netflix映画『モキシー 私たちのムーブメント』感想(ネタバレあり)〜フェミニズム運動というスクール革命を引き起こす覚醒の物語〜

Netflixオリジナル映画『モキシー 私たちのムーブメント』ネタバレを含めた感想です。ある女子高生がフェミニズム運動というスクール革命を引き起こす覚醒の物語です。

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<作品情報>

原題:Moxie
製作年:2021年
製作国:アメリ
日本配信日:2021年3月3日 Netflixで配信開始
本編尺:1時間51分
監督:エイミー・ポーラー
出演:ハドリー・ロビンソン、ローレン・サイ、マーシャ・ゲイ・ハーデン
ジャンル:青春

<予告編>
 

あらすじ


昔は反骨精神旺盛だった母と、嫌がらせに負けない転校生に感化され、校内の性差別を非難する冊子を作った女子高生。その行動が、やがて大きな変化を巻き起こす。

 

感想


評価:★★★☆☆

学園内ヒエラルキーの頂点に君臨するアメフト部の主将ミッチェルが、夏休み明けに転校してきたばかりの黒人女性ルーシーにイジメを繰り広げる光景に主人公が感化され、フェミニズム運動というスクール革命を引き起こす覚醒の物語。

違和感を感じながらもヒエラルキーに身を置き、学校内のルールや出来レース的な既定路線に従い、同調圧力にうんざりする毎日。そのルールを転校生という外部の視点から批評する展開は、かつての「学園もの」の世界の問題点を炙り出し、アップデートしていく試みである。

その中で、徐々に活動にのめり込んでいく主人公と、アジア系の親友との距離感の変化が本作の最大の魅力だろう。生きづらいヒエラルキー内でどのようにポジションを確保するかで連帯し合っていた関係性が、それぞれの家庭環境やフェミニズムとの向き合い方の違いを浮き上がらせることで、徐々にズレていくさまを丁寧に描き出していく。

社会に対して問題意識を持つことは多くても、声を上げてそれが間違っていると表明したり、周囲を巻き込むことは容易ではない。自分の殻を破って、あるいは無理に殻を破らなくても、それぞれの立場で勇気を持って行動することは、それだけでも観る者の心を動かす力がある。志は同じでも、それに向き合うスタンスは異なる。だからこそ、それらを認め合うことも、多様性を許容する社会にとって重要なことではないか。そんな問いかけを投げかけてみせる。