Netflix映画『ムクドリ』感想(ネタバレあり)〜家族という縄張りを守ること〜
Netflixオリジナル映画『ムクドリ』ネタバレ含めた感想です。縄張り意識の強いムクドリという鳥と一組の夫婦の関係の変化から、家族という縄張りを守ることについて描き出す。
作品情報
原題:The Starling
製作年:2021年
製作国:アメリカ
日本配信日:2021年9月24日Netflixで配信開始
本編尺:1時間44分
監督:セオドア・メルフィ
出演:メリッサ・マッカーシー、クリス・オダウド、ケヴィン・クライン
ジャンル:ドラマ
予告編
あらすじ
大切な人を失ったひとりの女性。自宅の庭をめぐって攻撃的な鳥と戦う日々をきっかけに、自らの抱える悲しみ、そして前に進めずに苦しむ夫と向き合ってゆく。
感想
評価:★★★☆☆
タイトルにもなっているムクドリは、賢いから脅しても逃げず、縄張り意識の強い攻撃的な鳥だ。だが、それは木に巣を作り子供を育てている親ゆえの防衛行動であり、だからこそ誤解されやすい。
子育てするムクドリの親と、娘を失った妻と夫にとって、その大木は自分の家であり庭である。そんな彼らが仲良く共生するわけではなく、互いに威嚇と防衛しながら、それでも大事な場所を守っていこうとする幕引きがチャーミングであり、誠実な着地で好感が持てる。
傑作『ドリーム』を手掛けたセオドア・メルフィだけあり、一度も娘に履かせることが出来なかった靴下、相手と向き合い対話する象徴としての安楽椅子といった小道具の使い方、そして消し去ることができない娘の喪失感を、カーペットにできた家具の痕を手で必死に消そうとする演出の繊細さは見事だ。
一方で、そんな夫婦が心の傷を受け入れ乗り越える方法や時間の違いを認め合いながら、二人で前を向くことを模索していこうとするまでをかなりのスローペースで描いているため、やや冗長に感じてしまうのも事実ではある。