Netflixドキュメンタリー映画『シューマッハ』感想(ネタバレあり)〜熱きシューマッハの時代が蘇る〜
Netflixオリジナルのドキュメンタリー映画『シューマッハ』ネタバレ含めた感想です。自らの腕と叩き上げ根性でF1界に殴り込みをかけた熱きシューマッハ時代の記憶が蘇る。
作品情報
原題:Schumacher
製作年:2021年
製作国:ドイツ
日本配信日:2021年9月15日Netflixで配信開始
本編尺:1時間52分
監督:ハンス=ブルーノ・カマートーンス他
出演:ミハエル・シューマッハ
ジャンル:ドキュメンタリー
予告編
解説
関係者の独占インタビューと秘蔵映像を交えて、F1世界選手権で通算7度の世界タイトルを獲得した名ドライバー、ミハエル・シューマッハの素顔に迫る。
感想
評価:★★★☆☆
ミハエル・シューマッハの家族や関係者の協力と証言のもと、シューマッハという人物像を浮かび上がらせるオーソドックスな作りの人物ドキュメンタリー。その完璧主義っぷりと過ちは認めない徹底っぷりで悪役とも言われがちだが、一方で家族やチームを愛する穏やかな一面を厚めに紹介することで、人間を立体的に捉えようとしている。
面白いのは、父親が経営していたレーシングカー場で幼い頃から運転していた影響で、いいマシンでいい走りをするのは当たり前で面白みがなく、裕福でない環境で安いパーツを集め、自らのドライビングテクニックで伸し上がってきたという叩き上げ根性が根本にある点だ。但し、少しでも道を謝れば夢は潰えると幼心に自覚していたからこそ、限界を見極めてギリギリまで攻める人生を送ることになったというのは、彼の言動を正当化するこじつけのような気もしなくもない。
ドイツの若造がTシャツメーカーと組んでF1に殴り込みをかけ、フェラーリを再生させるまでの過程は痛快であり、また幾度となく相手と接触し進路を妨害し、懲罰やバッシングを受けたのも、裏を返せばそれほどお互いの余裕がない歴史的な大熱戦を繰り広げてきたということだ。不運なスキー事故にあってから彼は公から消え、本作にも実際の姿は登場しないが、熱き時代の熱気が蘇る一作だ。